世界中の人たちは、さまざまなものを見ながら学び、働き、おいしい食事を目で楽しみながらいただき、そして美しい風景を見て感動する…。
そんな話を聞いたとき、僕の毎日の世界にそんな光景は存在しないよ、と思いました。
小学校に通うようになり、僕は教科書を顔に押し付けるように近づけないと文字が見えません。近所の幼馴染でクラスメートのヴァラックくんが、隣で教科書に書いてある文字や数字を耳打ちしてくれます。
ヴァラックくんや両親がいなくなったら、僕はどうやって生きていけばよいのだろう。そう思うと、「僕はどうして生まれてきてしまったのか」と思うこともありました。
2021年に、障害児が通うチルドレン・スタディ・クラブができました。僕はそこに通っては、耳で授業を聞きながら勉強をしていました。
ある日、クラブを運営するCADDPの代表が「隣の州で、無料で目の手術をしてくれる眼科がある」と教えてくれました。
2022年3月、僕は左目の手術を受けました。そして5月には、右目の手術を受けました。
手術のあと、まだメガネは必要だけど、僕は目が見えるようになりました。
将来は警察官になりたいです。
目が見えない時は、悪いことをしている人を見つけることはできなかったけど、これからは僕が村人の目となって、この村を守っていきたいんだ。